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学術研究機関がSDGsに取り組むために

SDGsが学術研究機関にとって重要な理由

持続可能な開発目標(SDGs)は、国連加盟国の193ヵ国が2030年までの達成を目指している世界共通の目標です。環境・社会・経済の3側面で、現代社会が直面している課題に対する17の目標と、169のターゲットが設定されています。

SDGs達成のために重要な役割の一翼を担っているのが、学術・研究機関です。知識の創造と普及を担う学術・研究機関がSDGsに取り組むことは、教育・研究内容の質的向上のみならず、現代社会が直面する課題を解決するために不可欠なイノベーションの創出にも繋がります。

さらに、学術・研究機関がSDGsに取り組むことで、SDGs関連教育・知識を提供でき、それが新たなパートナーシップの構築や責任ある学術・研究機関として世界的に認知されることに繋がる等、様々なメリットが期待できます。

どのようにSDGsに貢献することができるか

本記事では、 SDSN Australia/Pacificが作成した、『GETTING STARTED WITH THE SDGS IN UNIVERSITIES』を取り上げ、学術・研究機関がSDGs貢献するための方法を解説しています。

学術・研究機関の内、大学では、教育、研究、組織の業務とガバナンス、外部に向けたリーダーシップはしばしば別々にアプローチされますが、実際は密接に関連しています。 SDGsを取り入れることでこれらの分野間の繋がりを強化し、大学全体でSDGsへ資する取り組みを行うことができます。

「SDGs実装プロセス」

学術・研究機関がSDGsに取り組むことへの関心が高まる一方で、どのように機関の活動にSDGsを組み込めばよいか理解されていないという現状にあります。本記事では、 SDSN Australia/Pacificが作成した、『GETTING STARTED WITH THE SDGS IN UNIVERSITIES』の「SDGs実装プロセス」を取り上げ、学術・研究機関の活動にSDGsを組み込む具体的なプロセスを解説しています。

「SDGs実装プロセス」は、学術・研究機関の活動にSDGsを組み込むためのプロセスの一例を提供すること目的としています。そのため、機関によってプロセスへのアプローチは様々で、あるステップをスキップしたり、いくつかのステップを同時に実行したりすることができます。

機関ごとに、規模、資金、価値観、優先度、そして対応できる地域社会のニーズ等、多くの点で異なっています。したがって、全ての機関がSDGsを組み込むための一般的な方法は存在しないことを認識することが重要です。

以下で各ステップについて解説していきます。

ステップ1 すでにしていることをマッピングする ステップ1 すでにしていることをマッピングする
ステップ1 すでにしていることをマッピングする

ステップ1では、SDGsに貢献するために学術・研究機関が既に行っていることをマッピングします。

本ステップは、機関とSDGsの関係性をより深く理解するための出発点です。マッピングを行うことで以下の効果が期待できます。

  • ①SDGsに資する取り組みにおける関係者と潜在的な課題の特定
  • ②SDGsの優先順位と行動を決定するための強みとギャップの特定
  • ③SDGsへのさらなる寄与に向けたビジネスケースの構築

ステップ2 SDGsに取り組む能力と当事者意識の育成 ステップ2 SDGsに取り組む能力と当事者意識の育成
ステップ2 SDGsに取り組む能力と当事者意識の育成

ステップ2では、機関内外のパートナーシップを築くために、SDGsに取り組む能力と当事者意識の育成を行います

SDGsに取り組む能力を育成し、行動を促進するためには、SDGsに関する知識とコミットメントを理解することが不可欠です。これは、ステップ1で収集された情報を蓄積することで、機関におけるSDGsの重要性を明らかにし、当事者意識を育成します。

効果的な手段としてワークショップが挙げられます。異なる分野に関わる人々がSDGsに関する知識を共有し、連携について認識を高めることが重要です。

ステップ3 優先順位、機会、ギャップの認識 ステップ3 優先順位、機会、ギャップの認識
ステップ3 優先順位、機会、ギャップの認識

ステップ3では、ステップ2で確立されたSDGsへのコミットメントをより発展させ、機関内のSDGsの進捗把握と統合を図ります。本ステップは、機関全体でSDGsへの意向とコミットメントを設定する上で中心的なものとなります。

本ステップのカギは、機関の活動にSDGsを組み込むために必要となるあらゆる行動に対して、主要な関係者によるSDGs達成のための行動の優先順位の決定や現実的かつ段階的な基盤を設定することです。そうすることで、SDGsへ取り組む際にその場しのぎな決定がなされることを回避できます。

ステップ4 統合し、実施し、組み込む ステップ4 統合し、実施し、組み込む
ステップ4 統合し、実施し、組み込む

ステップ4では、SDGsに対するコミットメントと行動を統合して機関にSDGsを組み込む方法を探ります

本ステップでは、機関の状況に応じてガバナンスにSDGsを組み込み、SDGsに対する行動のメカニズムを確立し、ポリシー、戦略、行動計画に反映します。

本ステップのカギは、明確かつ広く支持された形でSDGsを組み込むことです。機関全体の戦略やポリシー、また、それを支える要素や方針にSDGsを組み込むことが重要です。

SDGsが機関全体に統合され、それが当たり前となれば、真の変革の力が生まれます。これにより、あなたの機関がリーダーシップの役割を果たし、SDGsを先導するできることができます。

ステップ5 モニタリング、評価、コミュニケーション ステップ5 モニタリング、評価、コミュニケーション
ステップ5 モニタリング、評価、コミュニケーション

ステップ5では、SDGsへの貢献度を評価します。そのために、外部に対して今後のSDGsへの取り組みを発信し、各ステークホルダーとコミュニケーションをとることがカギとなります。

継続的なFollow up & Review(追跡評価)やコミュニケーションによるパートナーシップの構築により、学術・研究機関は今後のSDGsへの取り組みに必要な支援と理解を広げることができます。

GETTING STARTED WITH THE SDGS IN UNIVERSITIESとは

「SDGs実装プロセス」の詳細な内容は『GETTING STARTED WITH THE SDGS IN UNIVERSITIES』に記載されています。

『GETTING STARTED WITH THE SDGS IN UNIVERSITIES』は、2017年にSustainable Development Solutions Network(SDSN)& Australasian Campuses Towards Sustainability(ACTS)により作成された全55ページに渡る資料です。SDGsを導入する大学に向けたガイドラインとして作成されました。本資料では、「SDGsとは何か」や「大学がSDGsに取り組む裏付け」といった基本的な事項を解説するとともに、「SDGs実装プロセス」を通じて大学の活動にSDGsへ取り組むための枠組みを開発するステップを提供しています。

また、自治体がSDGsを推進する際に取組状況を自己認識するための「自治体チェックリスト」も収録されており、各自治体がSDGsの取組状況を自己認識した上で取り組みを進めることができます。

『GETTING STARTED WITH THE SDGS IN UNIVERSITIES』はPDF形式でWeb上に公開されており、以下のURLから無料で閲覧及びダウンロードすることが可能です。

本記事は『GETTING STARTED WITH THE SDGS IN UNIVERSITIES』に基づき、独自の解釈を加えています。
詳細や元の文脈を確認したい場合は、以下のリンクから元の資料をご覧ください。

SDGsに取り組む意義・取り組みのヒント

資料名:
SDGs達成に向けた科学技術イノベーションの実践
発行組織名:
国立研究開発法人科学技術振興機構
発行年月日:
2021/3
資料の概要:
SDGs達成のための科学技術イノベーション(STI for SDGs)を推進するためのレポートです。STI政策の立案者、企業における企画・開発部門・科学技術コミュニティ関係者に向けて制作されています。 本レポートでは、STIが果たす役割や国内外の動向に関して学ぶことができます。また、Society5.0の実現を中心とした日本国内でのSTI for SDGsへの取り組みも紹介されています。
資料名:
私たちがつくる持続可能な世界~SDGsをナビにして~
発行組織名:
日本ユニセフ協会
発行年月日:
2023/4
資料の概要:
中学校3年生の社会科(公民的分野)でそのままご使用いただけるほか、すべての校種における総合的な学習の時間や各教科の授業にもご活用いただけるSDGs副教材です。 SDGs達成の期限年である2030年に社会の主役となっている子どもたちが「持続可能な世界を築くためには、何をしたらいいのか。また、将来自分はどのように目標達成に貢献できるのか。」を考えるためのトピックやワークが掲載されています。
資料名:
学術とSDGsのネクストステップ -社会とともに考えるために-
発行組織名:
日本学術会議 科学と社会委員会、科学と社会企画分科会
発行年月日:
2020/9
資料の概要:
日本学術会議がSDGsに取り組む背景や、課題に対する取り組みを自己レビューし、次期課題を示している報告書です。 学術会議以外の組織のSDGsに関する取り組みをまとめ、学際的なアプローチや大学と大学以外の研究機関の取り組みに焦点を当てています。また、若手研究者によるSDGs関連の業績評価や市民と科学者の協働についても取り上げられています。現行の取り組みや提言の効果を評価し、次期における課題として、SDGsの継続的な議論と学術会議の各分野での具体的な活動が求められています。
資料名:
ユネスコスクールガイドブック
発行組織名:
文部科学省、日本ユネスコ国内委員会
発行年月日:
2022/3 改定
資料の概要:
ユネスコスクール関係者やユネスコスクールに関心のある方を主な対象としたガイドブックです。 ESD(持続可能な教育)の推進拠点として活動しているユネスコスクールについて理解を深め、活動する際の参考となるうように、ユネスコスクールに関する基本的な情報、実践事例、及びサポート情報等が盛り込まれています。
資料名:
全国大学生活協同組合連合会 SDGsハンドブック
発行組織名:
全国大学生活協同組合連合会
発行年月日:
2020/10
資料の概要:
SDGsの基本情報や大学生協における各ゴールへの実践事例が記されているハンドブックです。各ゴールに対して自分たちができる事を考えるワーク機能や、取り組みをSDGsのゴールへ紐づけるマッピングの実践方法も解説されています。
資料名:
国連大学SDGs大学連携プラットフォーム 持続可能な社会に向けた大学の行動変容のための提言
発行組織名:
国連大学サステイナビリティ高等研究所 (UNU-IAS) 国連大学 SDG 大学連携プラットフォーム (SDG-UP)
発行年月日:
2021/9
資料の概要:
国連大学SDG大学連携プラットフォームが実施したワークショップにて議論された内容をまとめた提言書です。「マネジメント」「カリキュラム」「ファイナンス」「アカウンタビリティと外部評価の活用」の4つの視点から大学の行動変容のための提言をしています。また、同プラットフォームに参加する大学の取り組みも紹介しています。
資料名:
ACCELERATING EDUCATION FOR THE SDGS IN UNIVERSITIES A GUIDE FOR UNIVERSITIES, COLLEGES, AND TERTIARY AND HIGHER EDUCATION INSTITUTIONS
発行組織名:
SUSTAINABLE DEVELOPMENT SOLUTION NETWORK(SDSN)
発行年月日:
2020
資料の概要:
大学におけるESDGs(SDGsに関する教育)の実装に関するガイドブックです。 大学がESDGsをどのように提供し、実装するかに焦点を当てており、具体的なアプローチや手順、変革の必要性について説明されています。大学の教育プログラムや活動にSDGsを組み込む方法について詳細に記載されています。
資料名:
Schools in Action Global Citizens for Sustainable Development: A guide for Teachers
発行組織名:
国連教育科学文化機関(UNESCO)
発行年月日:
2016
資料の概要:
ESD(Education for Sustainable Development、持続可能な開発のための教育)およびGCED(Global Citizenship Education、地球市民教育)の概要を説明している教師向けのガイドブックです。授業づくりのアイディアや各国ユネスコスクールの実践例も紹介しています。
資料名:
SDGs実施指針 改定版
発行組織名:
SDGs推進本部
発行年月日:
2023/12
資料の概要:
日本政府が発行した、SDGsを達成するための中長期的な国家戦略を示した文書です。 教育機関は、国連教育科学文化機関(UNESCO)と国連が採択した「持続可能な開発のための教育:SDGsの達成に向けて(ESD for 2030)」より、教育が全てのSDGsの達成に寄与することが期待されています。学習指導要領改訂により国内の学校でSDGs学習を推進し、ユネスコスクールを活性化させ、社会教育関連機関も含めSDGsに資する環境づくりに取り組むことが必要とされています。 研究機関は、科学技術イノベーションの役割を最大限に発揮し、SDGsの達成に貢献することが期待されています。そのために、市民社会、企業、政府と科学者がビジョンや情報を共有し、課題や緊急性に対する認識を高める必要があるとされています。国際的な取り組みや科学者コミュニティとステークホルダーの連携、研究機関と政策立案者の協働も重要とされています。
資料名:
国連大学と知るSDGs ー Sustainable Development Explorer
発行組織名:
United Nations University
発行年月日:
随時更新
資料の概要:
国連大学におけるSDGsに関連した研究や研究者について紹介しているウェブサイトです。各ゴールに関連する研究者、プロジェクト、記事、出版物を閲覧することができます。
資料名:
教育現場におけるSDGsの達成に資する取組 好事例集
発行組織名:
文部科学省
発行年月日:
随時更新
資料の概要:
各地の小学校から大学までの教育現場において取り組まれているSDGsの達成に資する事例を紹介しているウェブサイトです。
資料名:
採用と大学改革への期待に関するアンケート結果【別冊】「組織体組織」による産学連携の取組事例集
発行組織名:
一般社団法人 日本経済団体連合会
発行年月日:
2022/10
資料の概要:
経団連全会員企業(1,480社)を対象とした「組織対組織」による産学連携の取組事例集です。 「教育面の連携」、「研究面での連携」、「大学等の研究成果に関する技術移転」、「研究者による技術指導」、「大学発ベンチャーへの参画」、「人的交流」、「その他」の7分野から82社、164件の事例が掲載されています。
資料名:
ESD活動事例集 日本国内の RCE(国連大学認定 ESD 拠点)によるケースレポート
発行組織名:
国連大学サステナビリティ高等研究所
発行年月日:
2019/1
資料の概要:
日本でこれまでに認定された7地域のRCE(Regional Centres of Expertise on Education for Sustainable Development /持続可能な開発のための教育に関する地域の拠点)における優良事例を紹介しているケースレポートです。 日本における RCE活動の一層の発展を図るとともに、日本のRCEによる世界のRCEへの貢献を促進することを目的として作成されています。
資料名:
SDGsから見た学術会議-社会と学術の関係を構築する-
発行組織名:
日本学術会議
発行年月日:
随時更新
資料の概要:
日本学術会議(JST)における提言等の意思の表出や学術フォーラムがSDGsとどのように関わっているかを紹介しているウェブサイトです。 23期(2014年10月1日~2017年9月30日)以降に発出された意思の表出や、25期(2020年10月1日~)に実施した学術フォーラムに関連するSDGsのゴールが紐づけられており、その本文をご覧になることもできます。
資料名:
Impact Rankings
発行組織名:
Times Higher Education
発行年月日:
2023
資料の概要:
イギリスの新聞「The Times」から派生した高等教育専門の週刊誌である、Times Higher Educationが実施する、SDGsの17の目標に対する大学の貢献度を測定するランキングです。 研究、管理責任、普及活動、教育の4分野にわたり、大学の取り組みを評価しています。総合ランキングやSDGsの目標別ランキングが公開されており、最新の『Impact Rankings 2023』では、115の国・地域から過去最多の1,705校が参加しています。
資料名:
採用と大学改革への期待に関するアンケート結果
発行組織名:
一般社団法人 日本経済団体連合会
発行年月日:
2022/1
資料の概要:
経団連全会員企業及び各都道府県の地方別経済団体に加盟する経団連非会員企業を対象として実施されたアンケート結果を纏めた報告書です。 企業の求める人材像や採用動向、日本の大学に求められる改革、さらには産学連携に関する考えや取組状況の把握を目的として実施されました。
資料名:
Global Schools Annual Report
発行組織名:
Global Schools Program、SUSTAINABLE DEVELOPMENT SOLUTIONS NETWORK
発行年月日:
2023/5
資料の概要:
持続可能な教育を推進する国際教育プログラムであるグローバルスクールズの活動、成果等をまとめた年次報告書です。